秘書ですがエリート社長に溺愛されています
副社長は笑いながら部屋に入ってきた。

 そして私を見る。

 じっと、観察するような視線。

「へえ」

 口元が少し緩む。

「君が水瀬さん?」

「は、はい」

 私は軽く頭を下げた。

 副社長はゆっくり近づいてくる。

「写真で見たけど」

 そう言って、私の顔を覗き込む。

「実物の方が美人だね」

突然の言葉に、私は言葉を失った。

「副社長……」

 思わず困っていると、副社長はさらに笑う。

「そんなに警戒しなくてもいいよ」

 そしてさらっと言う。

「お見合いの相手なんだから」

 私は一瞬、意味が分からなかった。

 けれど次の瞬間、理解する。

 ――まさか。

「あなたが……」

「そう」

 副社長は軽く頷く。

「君の見合い相手」

 社長室の空気が一瞬で変わった。
< 38 / 57 >

この作品をシェア

pagetop