秘書ですがエリート社長に溺愛されています
副社長はゆっくり言った。

「これは会長も知っているお見合いだよ」

 その瞬間。

社長室の空気が凍りついた。

「会長が……?」

 私が小さく呟く。

 玲司も驚きを隠せない顔をしていた。

 副社長はにやりと笑う。

「そういうこと」

 そして静かに言う。

「簡単には断れない話なんだよ」

副社長が社長室を出ていくと、部屋の空気は一気に重くなった。

 ドアが閉まる音がやけに大きく響く。

 私はしばらく動けなかった。

 玲司の腕はまだ私の肩に置かれている。

 でも、その表情はさっきまでとはまるで違っていた。

 静かに怒っている。

 そんな顔だった。

「玲司……」

 私が小さく呼ぶと、玲司はすぐに腕を離した。

「すまない」

 低い声で言う。

「少し待っていてくれ」
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