秘書ですがエリート社長に溺愛されています
そう言うと、玲司はデスクへ向かった。

 そして受話器を取る。

 ダイヤルする指は、いつもより少しだけ強く見えた。

 数秒後、相手が出たらしい。

「俺だ」

 玲司の声は低く抑えられていた。

「どうしてそんなことをしたんだ」

 社長室の空気がさらに張り詰める。

 私は思わず息を止めた。

 電話の相手は――

 会長。

 玲司の父だった。

 受話器の向こうから、低い声が聞こえてくる。

「何を怒っている」

 落ち着いた声。

「水瀬さんの見合いのことだ」

 玲司の声が鋭くなる。

「勝手に話を進めるなんて」

 すると、会長は鼻で笑ったようだった。

「水瀬さんに手を付けられないお前が、何を言っている」

 私は思わず顔を上げた。

 玲司の背中が一瞬だけ固くなる。

「……どういう意味ですか」
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