秘書ですがエリート社長に溺愛されています
その声は、今まで聞いたことがないほど真剣だった。

「俺が迷っていたばかりに」

 少しだけ苦い顔をする。

「こんな思いをさせてすまん」

 私は首を振る。

「玲司さん……」

 玲司は私の手を強く握った。

「もう迷わない」

 そして真っ直ぐ言う。

「俺と結婚してくれ」

 その言葉に、胸がいっぱいになる。

「俺には美咲だけだ」

 玲司は私を抱き寄せた。

 そして深くキスをする。

 私は思わず目を閉じた。

 涙が頬を伝う。

 嬉しくて、胸が苦しくて。

 玲司がそっと顔を離す。

「美咲」

 私は頷いた。

「はい」

 涙を拭いながら言う。

「玲司さんと結婚します」

 後ろから、くすっと笑う声がした。

 副社長だった。

「やれやれ」

 楽しそうに言う。

「最初からそのつもりだったくせに」
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