秘書ですがエリート社長に溺愛されています
そう言って立ち上がる。

「まあいい」

 軽く手を振る。

「お幸せに」

 副社長は笑いながら部屋を出ていった。

副社長が去ったあと、部屋には静かな空気が戻った。

 私はまだ震えていた。

 玲司はすぐに私を抱き寄せる。

 強く、けれど優しく。

「……怖かった」

 低い声。

「来るのが遅くなってごめん」

 その胸に顔を埋めながら、私は首を振った。

「いいえ……」

 涙がまだ止まらない。

玲司の腕が、ぎゅっと私を抱きしめる。

 その温もりに包まれて、ようやく安心できた。

「美咲」

 名前を呼ばれる。

 私は顔を上げた。

「私……」

 胸がいっぱいになる。

「今、玲司さんに抱かれたい」

 自分でも驚くほど、素直な言葉だった。

 玲司の目がわずかに揺れる。
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