秘書ですがエリート社長に溺愛されています
「水瀬」

低い声に、私ははっとした。

「はい」

振り向くと、玲司がデスクの向こうからこちらを見ていた。

「役員会議の資料を」

「はい、こちらです」

私はすぐに書類を差し出した。

玲司はそれを受け取り、椅子に座る。

長い指が紙をめくる。無駄のない動き。

私はその様子を、少し離れた場所から見ていた。

仕事中の玲司は、いつも真剣だ。

視線は鋭く、ほんの小さなミスも見逃さない。

だから社員たちは皆、彼を恐れている。

だが私は知っている。

この人が、ただ厳しいだけの人ではないことを。

玲司が書類から顔を上げた。

「昨日の契約書、修正は入ったか」

「はい。法務部からの確認も終わっております」

「そうか」

玲司は短く頷いた。
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