秘書ですがエリート社長に溺愛されています
そしてまた資料に目を落とす。

社長室の中は静かだった。

時計の針の音だけが、微かに聞こえる。

私は次の予定を確認しながら、デスクの横に立っていた。

こんなふうに二人きりになる時間は、決して珍しくない。

秘書と社長なのだから当然だ。

それでも――胸が少しだけ落ち着かない。

玲司が資料を閉じた。

「問題ないな」

「よかったです」

そう言った瞬間だった。

玲司の視線が、こちらに向けられる。

私は思わず動きを止めた。

真っ直ぐな視線。

それが私を捉えている。

なぜか、目を逸らせなかった。

見つめ合う。

ほんの数秒のはずなのに、やけに長く感じる。

胸の奥が、どくんと鳴る。
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