魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
一章 悪女は牢の中で
コツコツとブーツの音が地下牢に反響していた。
ぴちょんと水音が定期的に聞こえる。蝋燭の光がぼんやりと辺りを照らす。
底冷えするような寒さ。一歩先は闇で何も見えない。
漂うお菓子の甘い香りの中に混ざっているのは腐敗臭だ。
足音はある牢の前でぴたりと止まった。
銀色の鉄格子の中、牢の中にはあるはずのない上等なベッドや猫足のソファがある。
女性らしい花柄の生地や真っ白なシーツはここにあるはずのないものだ。
真ん中には小さめなアンティークテーブルが置かれていた。
その上には花柄のかわいらしいカップの取っ手を持つ小さな手。
紅茶からは湯気が立ち空気に溶けていく。
「はぁ……シャルレーヌ、こんな場所にこんなものまで持ち込んでどうするつもりだ」
名前を呼ばれるのと同時、ソーサーに静かにカップを置いた。
彼の言葉はもっともだろう。
ここは罪人が収監される地下牢なのだから。
シャルレーヌのいる牢の壁には拷問器具がびっしりと並んでいた。
「あら……わたくしはお父様と王国のためにここにいますのに、ひどいですわ」
「…………はぁ」
「というのは建前で自分のためでもあるのですけれど」
すると彼は額を押さえながら、またため息を吐く。
サンドラクト王国の威厳ある国王の父にこんな表情にさせられるのは、王国でシャルレーヌだけかもしれない。
シャルレーヌは焼きたてのクッキーを口に含む。
ぴちょんと水音が定期的に聞こえる。蝋燭の光がぼんやりと辺りを照らす。
底冷えするような寒さ。一歩先は闇で何も見えない。
漂うお菓子の甘い香りの中に混ざっているのは腐敗臭だ。
足音はある牢の前でぴたりと止まった。
銀色の鉄格子の中、牢の中にはあるはずのない上等なベッドや猫足のソファがある。
女性らしい花柄の生地や真っ白なシーツはここにあるはずのないものだ。
真ん中には小さめなアンティークテーブルが置かれていた。
その上には花柄のかわいらしいカップの取っ手を持つ小さな手。
紅茶からは湯気が立ち空気に溶けていく。
「はぁ……シャルレーヌ、こんな場所にこんなものまで持ち込んでどうするつもりだ」
名前を呼ばれるのと同時、ソーサーに静かにカップを置いた。
彼の言葉はもっともだろう。
ここは罪人が収監される地下牢なのだから。
シャルレーヌのいる牢の壁には拷問器具がびっしりと並んでいた。
「あら……わたくしはお父様と王国のためにここにいますのに、ひどいですわ」
「…………はぁ」
「というのは建前で自分のためでもあるのですけれど」
すると彼は額を押さえながら、またため息を吐く。
サンドラクト王国の威厳ある国王の父にこんな表情にさせられるのは、王国でシャルレーヌだけかもしれない。
シャルレーヌは焼きたてのクッキーを口に含む。
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