【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
(今のは気のせいよ……! わたくしの治療を断ることなんてありえないわ)
彼女はアナベルがわざわざ部屋にやってきて、治療してあげると言っていることに最初は謙虚に遠慮しようと演技しているだけだろう。
そう信じきっていた。病が治らなくていいと思っている人間など一人もいないのだから。
(今回は陛下にも報告しているのよ。挽回のチャンスを逃してたまるもんですか!)
アナベルは子どもに説明するように優しく声を掛けた。
「ですけどお困りでしょう? わたくしの力を使えばシャルレーヌ様のご病気も軽くなりますわ」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「は……?」
反射的に出てしまった疑問の声。
アナベルと同じように侍女たちも眉を寄せて声も出せないようだ。
大丈夫というのは、お願いという意味だろうか。
しかし『いいえ』という言葉が突っかかってしまう。
わからなかっただけかもしれないと丁寧に説明していく。
「えっと、わたくしの魔法は病を治すことが……」
「ですから、結構ですわ」
「なっ……!?」
アナベルは言葉を失っていた。