人形姫と秘密のお役目 -1-
「変って意味じゃなくてさ。なんか、大事そうだなって思って」


 少しだけ言葉を選ぶようにして、そう付け足される。

 私は一度視線を落とし、腕の中の人形を抱き直した。指先に伝わる布の感触を確かめるように、ほんのわずかに力を込めながら。


「……大事なもの」


 それだけ答える。


「そっか」


 返ってきた声は軽いのに、不思議と上滑りしない。


「いいね、そういうの。ちゃんと大事にしてる感じ、分かる」


 踏み込みすぎない距離のまま、まっすぐに肯定される。

 それ以上は聞かないという意思も、同時に伝わってきた。

 少しの間、言葉が途切れる。

 けれど、その沈黙はどこか穏やかで、さっきまで感じていた視線のざらつきとは違っていた。


「私、朝比奈(あさひな)つむぎ。澪って呼んでもいい?」


 軽く様子をうかがうような声。


「……好きにして」


 短く答えると、すぐに小さな笑いが返ってきた。


「ありがと。じゃあ、澪って呼ぶね」
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