人形姫と秘密のお役目 -1-
 けれど、その目は笑っていなかった。


「一回やってみない?」

「……は?」


 一瞬の沈黙のあと、私ではなく、つむぎの声が先に割り込んだ。

 つむぎが一歩前に出ると目の前にいる人物をキッと睨む。


「今、私とやってたんだけど」


 ラケットでコートを示す。


「澪ちゃん、初めてなんだよ? あんた、手加減する気ないでしょ」

「勝手に決めつけないでよ」


 そう言って、ラケットをくるりと回す。


「だいたい、なんでつむぎがそう決めるの? 夜桜さんの保護者っていう立場でもないくせに」

「別に、そういうわけじゃないけど」

「じゃあ口出さなきゃよくない?」


 ぴしゃりとさっきより強い口調で言葉を重ねる。


「……つむぎ」


 澪が小さく呼ぶが、つむぎは引かなかった。
 だんだんと二人の間の空気が重くなってくる。それと同時に、周囲の目がさっきよりも集まっていた。


(これ以上は、面倒……)


 私は、軽くため息をつくと二人の間に割り込む。
< 34 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop