人形姫と秘密のお役目 -1-
「……いいよ、やっても」


 そう答えると、女子たちは満足そうに頷いた。


「決まりね」


 くるりと背を向けて、コートの方へ歩いていく。

 その背中を見ながら、ラケットを握り直したそのとき、不意につむぎがつぶやく。


「私、あの人苦手」

「……どうして?」


 つむぎは少し視線を落として口を開く。


「だって、今みたいに気弱そうな人にマウントとっているんだもの。それに、澪ちゃんがバカにされたような感じで嫌」


 ぎゅっと、持っているラケットを握り込むつむぎ。


「つむぎ……?」


 私が名前を呼ぶと感情を抑えるようにひとつ深呼吸し、顔を上げた。そこには、いつものつむぎがいたが、どこか心配そうに私を見つめている。


「相手、けっこう強いよ。あの子、バドミントン部のレギュラーだし……」

「大丈夫。運動神経は、いいほうだと思うから」


 つむぎから視線を外し、少し離れた位置で心配そうに見ていた蒼真の方へ向かい、抱えていた人形を差し出す。
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