人形姫と秘密のお役目 -1-
突き刺さるラケット(?)
 そのひと言と同時にタイマーの音で、試合が始まる。

 ほとんど間を置かず、相手がシャトルを軽く放つ。

 次の瞬間、振り抜かれるラケット。

 乾いた音とともに、白い軌跡が一直線にこちらへ走る。

 体が反応するより先に、シャトルは足元へと落ちていた。

 小さく響く着地音。

 それだけで、一本が終わる。


「まずは一本」


 向こう側から、淡々とした声が落ちてくる。

 その瞬間、ほんのわずかに彼女の口角が上がった気がした。

 ラケットを握る手に、わずかに力が入る。

 バドミントン部所属なだけであって、放たれるシャトルが速く、視覚以外の五感で認識するには難しかった。


(いつもは、こういうとき蒼真に任せてばかりだったから……一人でも、目を使わなくても感じ取れるように修行しなきゃ)


 視線を上げると、相手はもう次の動作に入っているようだった。

 拾い上げたシャトルを、指先で弄ぶように揺らす。

 無駄のない構え。迷いのない視線。
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