人形姫と秘密のお役目 -1-
 そして、再び放たれるシャトル。


(……今度は)


 意識を一点に寄せる。

 来る瞬間だけを、逃さないように。

 彼女を真似てラケットの中央にシャトルが来るように打ち返す。

 乾いた音が、確かに重なったその瞬間。


「あ……」


 手の中の感触が、ふっと抜ける。

 弾いた勢いのまま、ラケットが手からすっぽ抜けた。

 相手の頬をかすめて、ラケットがすっ飛んでいく。


 ──ドスッ。

 鈍い音とともにラケットが、体育館の床に深く突き刺さった。


「……は?」

「ちょっと待って今の音、なに?」


 周囲の空気が一瞬で変わり、誰もが言葉を失っていた。

 対戦相手の女子も、引きつったように表情を固めている。こめかみには一筋の冷や汗がたらりと伝っていた。

 ざわめきが広がる中で、私は小さく息を吐いた。

 視線が、一斉にこちらへ向いているのが分かる。


「え、ちょ……」

「ラケット刺さってない?」

「うそでしょ……」
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