人形姫と秘密のお役目 -1-
 でも、これは違う。比べものにならないほど濃くて、広くて、曖昧だ。

 どこが始まりで、どこが終わりなのかも分からない。

 それなのに。


(……元凶がない)


 このくらい充満しているのなら、その元凶となるものが近くにいるはずだ。だが、見渡してもそれらしきものは視えない。

 ただ、不自然なほどに淀みだけがそこにある。

 ぞくり、と背筋に冷たいものが走る。

 理由の分からない、嫌な予感。

 視界の端にいる蒼真は、いつも通りの様子でこちらを見ているだけ。


(……気づいていない?)


 この濃さで、何も感じないはずがない。それでも普段通りでいられるということは。


(……視えてるものが違う)


 霊力の差。それによって、強さや視えるものも変わってくる。

 霊力が高ければ高いほど強い敵が視えてくる。私は、歴代で一番霊力が高いらしく、一族の次期当主なのだ。

 蒼真も高いが、それでも蒼真の上はたくさんいる。努力次第で霊力も増えていくがまだまだだ。
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