人形姫と秘密のお役目 -1-
「……分かりました」


 蒼真は一瞬だけ何かを考えるように沈黙したあと、小さく頷いた。

 そのとき。

 ぴしっと、乾いた音が手元で響く。

 視線を落とすと握っていたラケットの、ちょうど柄とフレームの継ぎ目。

 そこに、細い亀裂が走っていた。その亀裂がだんだんと広がっていき……。



 ――パキン。


 はっきりとした音を立ててラケットが二つに折れた。

 支えを失ったフレームが、力なく傾いていく。

 手の中に残るのは、半分になった柄だけ。

 残ったもう片方が、床へと軽く転がった。

 周囲の数人が、その音に気づいて振り返る。


「え……また?」

「今度は折れたんだけど……」


 ひそひそとした声。


(……やっぱり、耐えられないか)


 静かに、そう思う。

 祓いやすくするために、無理やり流し込んだ霊力。

 本来、そういう用途で作られていないものが耐えられるはずもない。
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