人形姫と秘密のお役目 -1-
 触れた瞬間に力を移すような高度な使い方をすれば、なおさら。

 分かっていた結果を、ただ確認する。 

 折れたラケットを見下ろしながら、指先に残るわずかな違和感を握り込む。

 そして、ゆっくりと顔を上げた。

 視界の奥。

 黒いもやは、まだ消えていない。

 それどころか、わずかに揺れながら、そこに在り続けていた。


「では、あの刺さったラケットを抜いてきます」

「うん。ごめんね、学校の責任者に怒られちゃうかな」

「大丈夫では? この学校の理事長は澪様のおばあ様ですし」

「……そうなの?」

「はい。……もしかして知りませんでしたか?」

「初耳……」


 ──キーンコーンカーンコーン


 授業の終了を知らせるチャイムが鳴った。
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