人形姫と秘密のお役目 -1-
 口元には笑みを浮かべている。

 けれど、その目は笑っていない。


「ちょうどさ、相手がいなくて困ってたんだよね。私と一回やってみない?」


 軽い口調。

 周りから聞けば、ただの誘いにしか聞こえないだろう。

 でも、ほんの少しだけ言葉の端に棘が混じっていた。

 閉じた目で、いつも人形を抱えていて、何を考えているのか分からない転校生。

 そんな“普通じゃないもの”に向ける、微かな拒絶。

 そういう空気は、なんとなく分かる。……俺もそうだったから。

 朝比奈が少しだけ眉間に眉を寄せ、一歩前に出ると口を開く。


「……は? 私とやってたんだけど。澪ちゃん、初めてなんだよ? あんた、手加減する気ないでしょ」

「勝手に決めつけないでよ。だいたい、なんでつむぎがそう決めるのよ。夜桜さんの保護者っていう立場でもないくせに」

「別に、そういうわけじゃないけど」

「じゃあ口出さなきゃよくない?」


 口喧嘩がだんだんヒートアップしてきた。二人の間の空気が重くなってくる。
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