あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
恒一は管理会社に連絡を取り、短く状況を伝える。

「はい、二名です。……ええ、分かりました。お願いします」

通話を終えると、私を見た。

「今から来てくれるそうです」

「そう……」

それだけで安心するはずなのに、胸の奥がじわじわと苦しくなる。

空気はある。閉じ込められているわけでもない。

頭では分かっているのに、狭い箱の中にいると思うだけで呼吸が浅くなっていく。

「部長」

恒一が私の顔をのぞき込んだ。

「少し座ってください」

「平気よ」

「平気じゃないです」

静かに言い切られて、私は逆らえなかった。

壁にもたれるように腰を下ろすと、恒一は自分のジャケットを脱いで私の肩にかけた。

まだ彼の体温が残っていて、ふわりと落ち着いた香りがした。

「……ありがとう」

「すぐ開けますから」
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