あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
耳元で落ちる声が、あまりにも優しかった。

私は目を閉じた。

背中に感じるぬくもり。喉元に触れる彼の息。

わずかに開いたシャツの隙間からのぞく肌。

急に、どうしようもなく彼が欲しくなった。

抱かれたい、と思った。

それだけじゃない。

もっと深く、この人とつながりたい。

この男の子どもが欲しい。

そんな衝動に突き動かされるまま、私は振り向いて、恒一の首元へ唇を寄せた。

触れる寸前――

ガタン、と大きな音がして、エレベーターの扉が外側から開いた。

「お待たせしました!」

救助担当者の声が響き、私ははっとして身を離した。

恒一だけが、何もなかったような顔で私の肩を支えていた。

けれどその目の奥には、さっきまでとは違う熱が、確かに宿っていた。
< 21 / 67 >

この作品をシェア

pagetop