あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
仕事を終えた頃には、時計はもう八時を回っていた。

オフィスの照明はところどころ落とされ、フロアにはまばらに人影が残るだけだった。

パソコンを閉じながら、私は小さく息を吐く。

四十二歳の誕生日。

朝から会議が三本、取引先との電話が二件、午後は社内調整に追われて、気づけば一日が終わっていた。

おめでとう、なんて言葉は誰からもない。

まあ、わざわざ自分から言っていないのだから当然だ。

祝ってほしい年齢でもない、と自分に言い聞かせながらも、胸の奥が妙に静かで、少しだけ寒かった。

「……帰ろう」

バッグを手にしたとき、恒一がちょうど席を立つところだった。

「部長、上がりますか」

「ええ」
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