あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
「何が?」

「部長から誘ってくれるの」

「……たまにはいいでしょ」

「もちろんです。むしろ嬉しいです」

その言い方が自然すぎて、私は視線を逸らした。

料理が運ばれてきて、仕事の話を少し、どうでもいい世間話を少し。

恒一はやっぱり話していて心地よかった。

押しつけがましくなく、こちらを立てながら、ちゃんと笑わせてくれる。

食事は穏やかに進んだのに、不思議と胸の奥だけがじわじわ熱を持っていく。

店を出る頃には、夜風が少し冷たかった。

駅へ向かって並んで歩きながら、私は小さく息を吐く。

楽しかった。思っていたより、ずっと。

「送ります」

恒一が当然みたいに言う。

「駅まででいいわ」
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