あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
そう言って、彼は紙袋を私に差し出した。

「開けても?」

「どうぞ」

中には、上品な革の小さなバッグが入っていた。

派手ではなく、けれど質のよさが一目で分かる。

仕事にも使えそうで、でも女らしさもあって、まるで私のために選ばれたみたいだった。

「……こんなの」

私は思わず顔を上げる。

「高すぎるわ」

「高瀬部長に安物は似合いません」

さらりと言われて、胸がきゅっと締まる。

「でも、急にこんな」

「急だからです」

恒一の目がまっすぐ私を捉える。

「本当は、ちゃんと準備したかった」

その言葉に、私は息をのんだ。

ただの気遣いじゃない。そう思ってしまうには十分すぎる熱が、その瞳にはあった。
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