あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
冷たい夜風の中で、紙袋を抱えた私の手は少し震えていた。

誕生日なんて、ただ一日が過ぎるだけだと思っていたのに。

なのに今夜は、胸の奥のいちばん柔らかいところに、確かに何かが触れていた。

紙袋を抱えたまま、私はしばらく何も言えなかった。

夜風が頬を撫でる。けれど胸の奥だけが、熱を持ったままだった。

「……どうして、こんなに優しいの」

ようやくこぼれた声は、自分でも驚くほど弱かった。

恒一は少しだけ目を細める。

「優しくしたい相手だからです」

その一言で、ぎりぎり保っていたものが一気に崩れた。

私は笑おうとした。いつものように、冗談で流そうとした。

でもできなかった。

胸の奥に押し込めていたものが、今夜はもう隠せそうになかった。

「だめ……」

小さく首を振る。

「高瀬部長?」
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