あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
喉が詰まる。

こんなこと、口に出して認めるなんて、どうかしている。

四十二歳にもなって、部下相手に、年下の男に。

恥ずかしくて、惨めで、情けない。

それでも、否定できなかった。

私は俯いたまま、唇を噛む。

指先が震える。バッグの持ち手を握る手に力が入る。

けれど最後には、ほんの小さく、うなずいてしまった。

「……うん」

声にならないような返事だった。

でも恒一には十分だったらしい。

次の瞬間、彼の手が私の頬に触れた。

逃げないように、壊れものに触れるみたいに、やさしく。

「そんな顔で言われたら、もう引き返せない」

かすれた声だった。

普段の落ち着いた彼からは想像できない熱が、そこにはあった。
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