あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
恒一はわずかに息を吐き、次の瞬間、私を引き寄せた。

抱きしめられた胸は思った以上に熱くて広くて。

その中に包まれた瞬間、身体から力が抜けた。

唇が触れる。最初は確かめるように静かで、やさしかった。

けれど重なるたびに深くなっていく。

私は知らず息をこぼし、彼のシャツを指先でつかんだ。

「美弥」

名前を呼ばれるだけで、胸の奥が甘く震える。

「……恒一」

返した声は、自分でも驚くほど頼りなかった。

その夜、近くのホテルで、彼は何度も私に触れた。

急がず、乱暴にもせず、私が緊張をほどいていくのを待つように、ひとつひとつ丁寧に。

肩を抱かれ、髪を撫でられ、額に口づけられるたび、仕事だけで固めてきた心の殻が、少しずつ溶けていく気がした。

「美弥、君はなんて美しいんだろう」
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