あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
「今日も無事に終わった」

そう口にしてみる。

でも、なぜか満たされた気分にはならなかった。

スマホが震えた。大学時代の友人グループのメッセージだった。

『見て見て、うちの子、今日初めて立ったの!』

送られてきた動画には、小さな子どもがふらふらしながら立ち上がって、周りの大人が歓声を上げる様子が映っていた。

思わず、笑ってしまう。

「かわいい……」

でも、そのあとで、胸の奥が少しだけ痛んだ。

「……私、このままでいいのかな」

自分の声が、静かな部屋にぽつんと落ちた。

誰に聞かせるわけでもない言葉。むしろ、誰にも聞かれたくない言葉だった。

私は四十二歳。営業部長。

会社ではそれなりの地位もあるし、収入だって悪くない。
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