あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
若い頃に思い描いていた“自立した女”には、たぶんなれている。

恋愛に振り回されるより、自分の力で立ちたかった。

誰かに寄りかかるんじゃなく、自分で自分の人生を選びたかった。

そうしてここまで来た。

「……なのに」

また呟く。

何が足りないのか、自分でもうまく言えない。

結婚したいのかと言われたら、それも違う気がする。

今さら誰かと生活を合わせるのは面倒だし、簡単なことじゃない。

でも、子ども――その言葉だけは、最近やけに胸に引っかかる。

小さな手。眠る顔。自分に似た表情。

そんなものを想像してしまう自分がいる。

「遅すぎるでしょ……」

苦笑しながら、私は額に手を当てた。

二十代でも三十代前半でもない。

今さらこんなことを考えるなんて、どうかしている。

そう思うのに、心は正直だった。
< 5 / 67 >

この作品をシェア

pagetop