あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
手帳に視線を落としながら、私は小さく息を吐いた。

若い頃なら、こんなことで気持ちまで揺さぶられたりしなかった。

生理なんて、ただの体調の波でしかなかった。

でも今は違う。

それはただの生理じゃない。

私にとっては、可能性がひとつ消えた証みたいに思えてしまう。

会議が終わって席に戻ると、デスクの上に温かい飲み物が置かれていた。

視線を上げると、少し離れたところで恒一がこちらを見ている。

「冷えると余計につらそうだったので」

その言葉に、私は一瞬返事ができなかった。

「……ありがとう」

ようやくそう言うと、恒一は何も追及せず、ただ静かに自分の席へ戻っていく。

その背中を見ながら、私はカップを両手で包んだ。
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