あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
温かいはずなのに、胸の奥の空白は埋まらない。

一夜の熱は確かにあった。

彼の腕の中で、私は初めて未来を欲しいと思った。

でも、欲しいと思っただけではだめなのだ。

現実は、こんなにも容赦がない。

私は目を伏せた。

泣くほどのことじゃない。まだ何も始まっていないのだから。

それでも、心は沈んでいく。

たった一夜の奇跡さえ、私には訪れない。

その事実が、仕事で塗り固めてきた胸のいちばん柔らかな場所を、静かに、けれど深く抉っていた。

生理が来てからというもの、私は意識して恒一と距離を取るようになった。

仕事ではいつも通りに接する。必要な指示を出し、報告を受け、会議でも隣に座る。

けれどそれ以上は踏み込まない。

二人きりになりそうな残業は避け、帰りの時間も少しずらした。
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