あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
恒一の目がわずかに揺れて、それからぐっと熱を帯びる。

「そんな顔で言われたら、もう無理だ」

彼は私を壁際へ追い込み、逃げ場をなくすように腕をついた。

距離が近い。吐息が触れそうなほど近い。

私は胸の前で手を握りしめたまま、彼を見上げるしかなかった。

「離すわけないだろう」

その声は、普段の穏やかな恒一とはまるで違っていた。

低く、抑えきれない熱を孕んでいる。

「あなたはもう俺のものだ」

心臓が大きく脈打つ。

その言葉の重さに、思わず息をのんだ。

所有されることを嫌うはずの私が、どうしようもなく甘い痛みを覚えてしまう。

「……そんなこと」

「本気です」

被せるように言い切られる。

「美弥さん、あの夜を気まぐれだと思ってるなら、そんなのは大きな勘違いです」
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