あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
「……私も」

ようやくそれだけ言うと、恒一の目が少しだけ揺れた。

「私も、あなたが好き。どうしようもないくらい」

言い終えた瞬間、視界が滲みそうになって、私は慌てて顔を背ける。

けれど恒一は逃がさないように、そっと顎に触れて私を振り向かせた。

「泣かないで」

「泣いてない」

「じゃあ、そんな顔しないでください。俺までだめになる」

困ったように笑って、恒一は額を寄せてきた。

触れ合う距離にある彼の熱が、たまらなく愛しい。

私はその胸に手を置いた。鼓動が早い。

落ち着いて見えるのに、彼だって同じように揺れているのだと分かる。

「恒一」

「はい」

「もう、離れないで」

気づけば、そんな言葉が零れていた。

こんなふうに誰かに縋るようなこと、今までの私なら絶対に言わなかった。
< 55 / 67 >

この作品をシェア

pagetop