あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
でも、その遠回りがあったからこそ、今こうして確かめ合う気持ちがこんなにも深いのかもしれない。

恒一は私の額に、まぶたに、頬に、ひとつずつ丁寧に口づけた。

最後に唇が重なる。激しさではなく、愛しさを確かめるようなやわらかな口づけ。

私は目を閉じて、それを受け入れた。

好きな人に抱きしめられることが、こんなにも満たされるなんて知らなかった。

ただ触れ合うだけで、心の奥の寂しさが静かに埋まっていく。

私は彼の背に腕を回し、そのぬくもりを確かめるようにぎゅっと抱きしめた。

「やっと、好きって言えた」

私がそう囁くと、恒一はすぐ耳元で返す。

「これからは、何度でも言ってください」

「あなたも」
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