あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
今まで仕事だけで埋めてきた人生の中に、ようやく別の幸せを置いてもいいと思えたからだ。

「……怖いの」

気づけば、私は本音を口にしていた。

「期待して、もしだめだったらと思うと怖い。今さら傷つくのも、あなたを巻き込むのも……」

すると恒一は、少しだけ困ったように笑った。

「一人で全部背負おうとしないでください」

「でも」

「だめでも、一緒に悩めばいい。うまくいかなくても、一緒に考えればいい。子どものことだけじゃない。仕事のことも、家のことも、全部です」

そう言って、彼は私をそっと抱き寄せた。

「もう、一人で頑張らなくていい」

その言葉で、胸の奥に固く残っていたものが、音もなくほどけた。
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