パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語
 するとその時、広場の中心にある古い舞台の上に、パフェがひらりと舞い降りました。
 夕闇の中で、彼女の淡いピンクのドレスだけが、まるで一輪の花のように鮮やかに浮かび上がります。

「ボンジュール!  グーテン・アーベント!  そして、こんばんは!  さあ皆さん、今宵は心ゆくまでダンスを楽しみましょう!」

 パフェが舞台の真ん中で大きく両手を広げ、弾んだ声を響かせました。
 しかし、舞台脇に控えた奏者たちは、互いに顔を見合わせて戸惑うばかり。

 兵士たちが必死にかき集めてきたのは、蛇腹の剥げたアコーディオンに、弦の足りないチェロやバイオリン、そして小さな手垢のついた太鼓でした。

 パフェはそんな彼らへ、ひときわ眩しい笑顔を送ります。
 その力に圧されるように、アコーディオンを抱えた一人の老人が、おずおずと鍵盤に指を触れました。

 プォー……と、夜の静寂に寂しげな音が漏れ出します。
 パフェはその物悲しい調べに合わせ、軽やかにスカートの裾をつまみ上げると、優雅なステップを踏み始めました。

 けれど、観衆の反応は冷ややかなものでした。
 誰もが「こんな時に不謹慎な」「所詮、魔女は人の心など分からないのだ」と、軽蔑と落胆の眼差しを向けています。

 その沈黙を破ったのは、一羽の「アヒル」でした。
 お妃様の腕をすり抜け、舞台へと飛び上がったヴィオラ姫。

 彼女は短い羽を必死に広げ、お世辞にも上手とは言えない無様なダンスを踊り始めました。

 足をもつれさせ、舞台の隅で転び、真っ白な羽を泥で汚しても、彼女は何度でも立ち上がり、懸命に首を振ってリズムを刻みます。
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