パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語
「……なんてこった。本当に、踊りだしちまうなんてね」

 ついさっきまで毒づいていたあの婦人も、知らず知らずのうちに頬を緩ませ、拍手を送っていました。
 それを見逃さなかったパフェは、ひらりと彼女のもとへ駆け寄り、その厚い手をぎゅっと握りしめました。

「さあ、婦人もご一緒に!」

「ちょっと、アンタ! 私はそんな……わわっ!」

 戸惑う婦人を広場の真ん中へと連れ出し、パフェは共に高くステップを刻みます。

 最初は顔を赤らめていた婦人も、リズムに身を任せるうちに、これまでの苦労を吹き飛ばすような大笑いを見せました。

 狂乱のような喜びの渦の中で、パフェはふと視線を落としました。
 そこには、子供たちに囲まれ、転びながらも一生懸命に羽を広げて踊るアヒルの姿がありました。
 
 泥にまみれながら、誰よりも楽しそうに、誰よりも気高く――。

 その光景を見つめていたのは、パフェだけではありません。

 特等席では、王とお妃が手を取り合い、頬を伝う涙も拭わずに、民と共に笑い、この奇跡を慈しんでいました。
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