手を、つないで 〜ふたりの時間〜
土曜日、13時。彼女の最寄り駅のホームで待ち合わせた。
その先にある大型のショッピングモールに行こうとしている。
待ち合わせの30分も前に着いてしまった。もし途中で何かが起こったら、と一度考えると落ち着かなくて、早めに家を出た結果だ。
今日を空けるために、昨日は爆速で仕事を進めた。ミスはしないように、もちろん細心の注意を払った。
高井戸は何かを察したらしく、近寄ってこなかった。その代わり無言でぬるい視線を送ってきた。ウザかった。
ぬるい視線はもう一つ。三上さんが遠くから送ってきていた。構っていられない。無視した。
待っている間に、今日行くショッピングモールのホームページで、海鮮丼の店の位置を再確認する。このモールにはラーメン店もあって、彼女はそこに行こうと言っていたけど、行列ができるという情報が出ていたので、あまりにも長かったら海鮮丼を食べに行こうと提案するつもりだった。見た目も豪華でおいしいらしいので、海鮮好きな彼女はきっと満足するはず。
「松永さん、早いですね」
顔を上げたら、彼女がいた。15分前。彼女も早い。
「お待たせしちゃいましたか?」
「いや、俺が早く着いちゃって。そんなに待ってません。中森さんも早いですね」
彼女は、あはっと苦笑した。
「なんか、落ち着かなくて。早く来ちゃいました」
同じだった。なんだか照れ臭い。
ちょうど電車が来た。
「行きましょうか」
「はい」
手を出す。彼女が手を重ねる。今日もあったかい。
そのあったかさにホッとして、電車に乗った。