手を、つないで 〜ふたりの時間〜


 モニターの上に顔が出た。高井戸。
「松永、熱あるんじゃない?」
 昼時だから飯の話かと思ったら、そんなことを言われた。
「なんか、急に顔真っ赤になったり、ぼーっとしたり、大丈夫か?」
「……大丈夫」
 つい昨日のことを思い出してしまうから、そうなる。
「大丈夫ならいいけど。無理すんなよ」
「おう」
「じゃあ飯どうする?」
「牛丼」
「おお行こう」
 連れ立って部屋を出ると、彼女が廊下にいた。
 見た途端、体中の血が騒ぎ出す。
 彼女はちょっと顔を赤くして、うつむき加減で会釈した。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でー……す」
 高井戸が彼女と挨拶を交わす。その後、俺に視線を移した。
 俺はいつも通り目礼。彼女も目礼して、さささっと部屋に入って行った。
 高井戸は彼女を見送って、俺を、見ている。
「……なんだよ」
「いや、熱はないんだなーって思って」
 口の端が震えてる。
 俺は今、ものすっごくあっつい。顔なんて、多分湯気が出るくらい真っ赤になってると思う。
「無理すんなよ」
「うるさい」
 高井戸は声も震えてた。ちくしょう、いつか仕返ししてやる。



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