桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜



——りあを海外に連れていってほしい。もう、限界だ。


あの日の声が、胸の奥で静かに蘇る。
震えたような声だった。

あの時、私は——

無意識に、眉が下がった。

……ちゃんと、話せる日なんて来るのかな。

静まり返った廊下に、自分の鼓動だけがやけに響く。


その時——

ガチャリ、と玄関のドアが再び開いた。
 

「……ん? 誰か帰ってる?」


聞き慣れた、少し明るい声。

「あ」

振り向いた瞬間——


「——りあ!?」


弾けるような声が廊下に響いた。

次の瞬間。

「うわっ」

ぐい、と体を引き寄せられる。
気づけば、思いきり抱きしめられていた。

「……っお前、ほんとにりあかよ」

低く笑う声が、すぐ近くで落ちる。

「帰ってきたんだな」 

「ただいま、あっちゃん」

敦兄は、昔と変わらない笑顔で私の頭をくしゃりと撫でた。
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