桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜
第2話 帰ってきた場所
敦兄に頭をぐしゃぐしゃに撫でられて——
「ちょっと! あっちゃん! 髪の毛ボサボサになっちゃう!」
「ああ、悪い悪い」
敦兄はぱっと手を離して、少し目を細めて私を見る。
慌てて髪を整える私を、面白そうに眺めながら——
「……ちょっと会わないうちに、また少し大人っぽくなったか?」
「そうかな?」
なんだか恥ずかしくて肩をすくめる。
「去年の夏、会ったばっかりじゃん。
シンガポールまで来てくれたのに」
「ああ、そうか」
敦兄は頷いて、それから笑う。
「でも俺にとっては長かったの!」
次の瞬間、またぐいっと肩を引き寄せられる。
「きゃっ」
思わず声が出た。
敦兄の腕の中は、昔よりずっと大きく感じた。
「……っと、悪い」
はっとしたように、敦兄がすぐ離れる。
そしてすぐ、その視線が、足元のスーツケースに落ちた。
「これ、運んでやるよ」
ひょい、と軽く持ち上げる。
「お前の部屋、そのままだから」
「……うん!」
胸の奥が、ふっと温かくなる。
ちゃんと、まだ……。
私の部屋があるんだ。
敦兄は私のスーツケースを軽々と持ち上げると、そのまま階段を上り始めた。
私はその背中を追いかける。
階段を上る敦兄の後ろ姿。
昔から変わらない、少し癖のあるダークブラウンの髪。
背中も肩も、前よりずっと大きくなっている気がした。
「ねぇ、あっちゃん」
「ん?」
「お母さんから連絡なかった? 私が戻るって……」
「あー! あったあった!」
敦兄は振り返りもせず、あっけらかんと言う。
「薫さんが、到着の日言ってた気がするけど、完全に飛んでたわ。ごめん」
「ふふ、あっちゃんらしい」
「あと親父がなんか、知覚過敏がどうとか言ってた」
「何それ!?」
声が裏返る。
お父さんが昔から、私のことを何かと気にかけてくれているのを思い出す。
なんだか少しだけ、恥ずかしくなった。
「ちょっと! あっちゃん! 髪の毛ボサボサになっちゃう!」
「ああ、悪い悪い」
敦兄はぱっと手を離して、少し目を細めて私を見る。
慌てて髪を整える私を、面白そうに眺めながら——
「……ちょっと会わないうちに、また少し大人っぽくなったか?」
「そうかな?」
なんだか恥ずかしくて肩をすくめる。
「去年の夏、会ったばっかりじゃん。
シンガポールまで来てくれたのに」
「ああ、そうか」
敦兄は頷いて、それから笑う。
「でも俺にとっては長かったの!」
次の瞬間、またぐいっと肩を引き寄せられる。
「きゃっ」
思わず声が出た。
敦兄の腕の中は、昔よりずっと大きく感じた。
「……っと、悪い」
はっとしたように、敦兄がすぐ離れる。
そしてすぐ、その視線が、足元のスーツケースに落ちた。
「これ、運んでやるよ」
ひょい、と軽く持ち上げる。
「お前の部屋、そのままだから」
「……うん!」
胸の奥が、ふっと温かくなる。
ちゃんと、まだ……。
私の部屋があるんだ。
敦兄は私のスーツケースを軽々と持ち上げると、そのまま階段を上り始めた。
私はその背中を追いかける。
階段を上る敦兄の後ろ姿。
昔から変わらない、少し癖のあるダークブラウンの髪。
背中も肩も、前よりずっと大きくなっている気がした。
「ねぇ、あっちゃん」
「ん?」
「お母さんから連絡なかった? 私が戻るって……」
「あー! あったあった!」
敦兄は振り返りもせず、あっけらかんと言う。
「薫さんが、到着の日言ってた気がするけど、完全に飛んでたわ。ごめん」
「ふふ、あっちゃんらしい」
「あと親父がなんか、知覚過敏がどうとか言ってた」
「何それ!?」
声が裏返る。
お父さんが昔から、私のことを何かと気にかけてくれているのを思い出す。
なんだか少しだけ、恥ずかしくなった。