桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

第5話 近すぎた距離

敦兄の向かいの席に座り、並んだおかずに箸を伸ばす。

昌枝さんが作り置きしてくれていた料理だ。
今日は少し多めらしい。

箸を置いて立ち上がる。

「飲み物入れるね」

「サンキュ」

背中に、敦兄の声が飛んできた。

「そういえばさ、お前、ガキの頃からよくキッチンに立ってたよな」

「そうだね」

冷蔵庫を開けながら答える。

「最初はお母さんが家事苦手だからやってただけだけど、今はわりと好きかも」

昌枝さんの横で、よく料理を教えてもらっていた。

「おいおい、りあたん、俺に内緒で嫁に行くんじゃないぞ」

「何言ってんの、お茶でいい?」

「おお」

敦兄は、ふざけてなのか、たまに私を「りあたん」と呼ぶ。
久しぶりに聞くと、少しくすぐったい。

冷蔵庫に視線を戻すと、奥に炭酸の缶が見えた。

……なんか、炭酸飲みたい気分かも。

「ねえ、あっちゃん。これ飲んでいい?」

「いいよいいよ。なんでも食って飲め」

敦兄は顔も上げずに言った。

「プリン以外はな」

思わず苦笑する。
昔、敦兄のプリンを勝手に食べてしまって、珍しく拗ねられたことがあった。

お茶をコップに入れて敦兄に渡し、席に戻る。

プシュッ。

炭酸の缶を開けて、一口飲む。

「……あれ」

少し眉をひそめる。

「なんかこれ、ちょっと変な味するかも」

「ん?」

敦兄が顔を上げる。

次の瞬間。

「——あ!!」

「え?」

敦兄が勢いよく立ち上がった。

「お前それっ!」

手から缶をひったくられる。

「昌枝ちゃんの酒!!」
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