桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜
敦兄が缶をひっくり返して見る。
「って空だし!」
視界が、ゆっくり揺れる。
「……あれ」
敦兄の顔がぼやける。
「なんか、あっちゃんが二人に見える……」
首を少しかしげる。
「いや……三人……?」
「っやばいなこれ」
敦兄が慌てて立ち上がる。
少しして戻ってくると、コップを口元に押し当てられた。
「ほら、飲め」
水が口に流れ込む。
むせそうになりながら、なんとか飲み込む。
口元からこぼれた水を、敦兄がティッシュで乱暴に拭いた。
「大丈夫か?」
「うーん……」
頭が重い。
「……ちょっと頭痛い……」
敦兄は空になった缶を見ると、顔をしかめた。
「……くそ」
小さく舌打ちすると、立ち上がった。
「ちょっとここで大人しくしててくれ!な!」
そして、玄関の方へ急ぎながら振り返る。
「酔い止め買ってくる!」
バタン。
ドアが勢いよく閉まった。
その音が消えると、家の中は急に静かになった。