桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜


敦兄が缶をひっくり返して見る。

「って空だし!」

視界が、ゆっくり揺れる。

「……あれ」

敦兄の顔がぼやける。

「なんか、あっちゃんが二人に見える……」

首を少しかしげる。

「いや……三人……?」

「っやばいなこれ」

敦兄が慌てて立ち上がる。

少しして戻ってくると、コップを口元に押し当てられた。

「ほら、飲め」

水が口に流れ込む。

むせそうになりながら、なんとか飲み込む。
口元からこぼれた水を、敦兄がティッシュで乱暴に拭いた。

「大丈夫か?」

「うーん……」

頭が重い。

「……ちょっと頭痛い……」

敦兄は空になった缶を見ると、顔をしかめた。

「……くそ」

小さく舌打ちすると、立ち上がった。

「ちょっとここで大人しくしててくれ!な!」

そして、玄関の方へ急ぎながら振り返る。

「酔い止め買ってくる!」

バタン。

ドアが勢いよく閉まった。

その音が消えると、家の中は急に静かになった。
< 26 / 36 >

この作品をシェア

pagetop