桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜


隼人の足が止まり、振り返る。


「……は?」


私はそのまま、ふらふらと近づく。

そして――


隼人の胸ぐらを、ぐっと掴んだ。


「っ!」


その瞬間、体がぐらりと傾く。

足元の感覚が、消えた。


「あ――」


倒れる。

そう思った瞬間。

隼人の腕が、反射的に私の腰を掴んだ。

体が引き寄せられ、ぐるっと回った。

ドン。

床に何かがぶつかった音。


気づけば、私は隼人の上にいた。


隼人が、下。
私が、上。

一瞬だけ、隼人の手が私の腰を支えた。
でもすぐに、その手が離れる。

「……隼人」

ぼんやりしたまま、上半身を起こす。

すぐ下に、隼人の顔。

近い。

思ったより、ずっと近い。

「……っ」

隼人の息が止まった気がした。

目が、合う。

綺麗な黒い瞳が、わずかに揺れる。

あと少しで触れそうな距離。

隼人の喉が、小さく動いた。


「……隼人」


私は小さく続けた。


「っごめんね……」


ずっと言えなかった言葉だった。

声が、少し震えた。
 

「……!」


隼人の目が大きくなる。

その瞬間。

力が抜けた。

私はそのまま、隼人の胸に倒れ込んだ。
顔が、その胸元に埋まる。

思ったより硬い。
細く見えるのに、ちゃんと男の人の体だった。

「っ……おい」

隼人の体が少し固くなる。

背中に手が触れそうで――

止まる。


「……気持ち、悪い」


「……は?」


「うっ――」 


次の瞬間。

けろけろけろ。


「っ!!」

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