桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

その時。

ガチャリ、と玄関のドアが開く音。

「なんでそんなことなってんだよ」

「だからそれは——」

兄たちの声が重なる。

足音が廊下に近づく。

「……は?」

俊兄の声。

「え、ちょ、待って!どういうこと??」

敦兄の声もする。

その向こうから、もう一つ。

「はっ!!」

颯太の声が跳ねた。

「姉ちゃんが隼人兄に襲われてる!!」

「……おい」

すぐ下で、隼人の低い声。

「どこをどう見たらそうなるんだ」

ばたばたと足音が近づく。

「おーい、りあ!りあ!」

敦兄の声がすぐ上から落ちてくる。

「……あー、こりゃダメだな」

次の瞬間、体がふわっと軽くなる。

「颯太、運ぶの手伝え」

「げっ、やだよ!ゲロまみれになんじゃん!」

「いいから!まず拭くもん持ってこい」

「げー」

足音がばたばたと遠ざかっていく。

「隼人」

俊兄の声。

「お前もシャワー浴びてこい」

少し、間。

「……」

布の擦れる音。
足音が遠ざかる。

たぶん、隼人だ。

体が揺れる。

遠くで誰かの声がする。
でも、もうよく分からない。

私はそのまま、意識の奥に沈んでいった。
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