桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜
家を出て、制服姿の敦兄と並んで歩く。

「お前、体調もう大丈夫か?」

「うん! あ、ごめんね。あっちゃんにも迷惑かけちゃって……」

軽く笑って、前を向いて歩き出す。

敦兄が横目でこちらを見た気がしたけれど、
気にせずそのまま歩いた。

「でも、私服で学校行くの変な感じ」

「ああ、今日か明日にはもらえるだろ」

ふと、隣を歩く敦兄の制服が視界に入る。

――あ。

さっきの隼人の学ランが、ふっと頭に浮かぶ。

「そういえばさ」

「ん?」

「……隼人、違う学校なんだね」

「ああ、しかもあいつ男子校。むさっ苦しいよな。かわいそ〜」

敦兄の言い方に、思わず苦笑する。

「俊兄と颯太は一緒だよね?」

「ああ。あいつらは先行ってる。……部活あるんだって」

俊兄は中学から剣道部。
颯太は小さい頃からサッカーが好きだった。

「……あれ、あっちゃんは剣道やめたの?」

敦兄は少し肩をすくめる。

「だってさ、思ったより全然モテねーんだもん」

「ふふ、何言ってんの」

私は敦兄の横顔をちらっと見る。

笑ってるけど――
どこか、いつもの軽さと少し違う気がした。

でも、敦兄がこういう言い方をする時は、
あまり踏み込まない方がいい。

私はあえて、それ以上聞かなかった。

……いや、正確には。
気になったけど、聞けなかった。
< 35 / 36 >

この作品をシェア

pagetop