桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

ピンポーン。


心臓が、跳ねる。

呼吸を整えて、もう一度押す。
 

ピンポーン。


……あれ?


反応が、ない。

一気に不安が膨らむ。

どういうこと??

固まっていても仕方ない。

スーツケースを開けると、
震える指で鍵を探した。


「お邪魔しまーす……」


自分の家なのに、声がよそよそしい。

玄関を上がる。
広い廊下は薄暗く、しんと静まり返っている。


「え」


もしかして——
本当に、誰もいない?

靴を脱ぐ音がやけに大きく響く。


「あっちゃーん! 俊兄ー! 隼人ー! 颯太ー!」


声は高い天井に吸い込まれていく。

返事は、ない。

「嘘でしょ……」

出迎えなんて期待してなかった。

それでも、
ほんの少しだけ。

“帰る場所”であってほしかった。

胸の奥が、ちくりと痛む。

立ち尽くしていると——


ガチャリ。


玄関のドアが開く音。
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