冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
その瞬間、圭太さんの顔がほんの少しだけ崩れた。

安心したように、ようやく息をついたように見えた。

「そうか」

いつもの短い言葉なのに、その中に全部が詰まっていた。

圭太さんは箱から指輪を取り出し、私の左手をそっと取る。

冷たい夜気の中、その指先だけが熱かった。

「少し、手が震えてる」

「……圭太さんもです」

「そうだな」

珍しく素直に認めるから、私は泣きながら少しだけ笑ってしまう。

薬指に指輪が通される。

ぴたりと収まったその感触に、胸がまたいっぱいになった。

これで本当に、夢じゃない。

「きれい……」

小さく呟くと、圭太が私の手を包み込むように握った。

「おまえによく似合う」

「ありがとうございます」

「礼じゃない」

「じゃあ……」

私は涙を拭いながら、圭太さんを見上げた。

「幸せです」
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