冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
襖が開いて、相手側の家族が入ってくる。

その中で、一番先に目に入ったのは、穏やかな目元の男性だった。

「はじめまして。三浦恒一郎です」

落ち着いた低い声。

四十歳と聞いていたけれど、思っていたよりずっと若々しく見える。

背筋が伸びていて、柔らかい笑みを浮かべる姿に、威圧感がない。

「朝倉由真です。よろしくお願いいたします」

頭を下げると、三浦さんも丁寧に頭を下げ返してくれた。

ぎこちない挨拶を交わしてから、両家の親がいくつか当たり障りのない話をし、それから「若い人たちだけでお庭でも見てきたら」と気を利かせてくれた。

私は内心で少しだけほっとする。

親がいる前より、一対一の方がまだ話しやすい。

「行きましょうか」
< 14 / 108 >

この作品をシェア

pagetop