冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「謝らなくていいですよ。着物って歩きづらいでしょう」

「普段着ないので……」

「無理しないで。ゆっくり歩きましょう」

そのまま、三浦さんは私が歩きやすいように半歩だけ前に出てくれた。

風除けのように自然で、あまりにもさりげない。

こんなふうにかばってくれる人と結婚したら、安心するんだろうなと思う。

優しい。ちゃんと、私を見てくれている。

圭太さんとは違う。

その名前が頭に浮かんだ瞬間、胸の奥にひやりとした痛みが走った。

こんなところで思い出すなんて、失礼なのに。

見合いのあと、母は上機嫌だった。

「いい方だったじゃない」

「うん……そうだね」

「落ち着いてるし、ちゃんとしてるし、何より由真の話をちゃんと聞いてくれてた」
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