冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「数字の並びが見づらい」

「え……」

「このままだと役員の視線が散る。要点が弱い」

胸がちくりと痛む。

昨夜遅くまでかけて整えた資料だったからだ。

「申し訳ありません。すぐ修正します」

「二十分でできるか」

「……はい」

言い切って頭を下げる。

圭太さんは少しだけ眉を動かした。

「無理なら三十分待つ」

「大丈夫です。二十分でやります」

「そうか」

それだけ言って、また資料へ目を落とす。

冷たい言い方に聞こえる人もいるかもしれない。

実際、社内では圭太さんは“冷徹社長”と呼ばれていた。

判断が早い。妥協しない。言葉が少ない。必要のない会話はしない。

だけど私は知っている。

圭太さんは、ただ切り捨てる人じゃない。
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